整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

骨の老化と骨粗鬆症

2014.10.14
カテゴリ:骨
今回から骨の老化についてのお話をしましょう。骨も加齢に伴い、少しずつ老化していき、そのために少しずつもろくなっていきます(骨粗鬆症)。その理由と予防方法について、考えてみたいと思います。

皆さん、誰でも例外なく年とともに、髪が白くなったりするように、身体的な機能がおとろえていくことは、避けられないことですね。しかしそのことも個人差が、かなり大きいことも事実です。骨も年とともに老化していくことが、古くは石器時代の化石からも、人種、民族の区別を越えてみられます。骨の老化とは、具体的には、骨のなかの石灰化した硬い部分の量、これを骨量といいますが、この骨量が減少していくことに認められます。つまり骨の老化とは、全体の形には変化は、起こらないのですが、骨のなかの硬い部分が減少していくことにより、年とともに少しずつ骨を失っていくことなのです。その結果として骨が弱くなり、少しずつ小さな骨折を繰り返し変形することもありますし、簡単な外傷で骨折を起こし易くなってしまうことになります(易骨折性)。

骨粗鬆症写真

骨粗鬆症グラフ

参考に示した骨の写真をみるとよくわかると思いますが、元々、人の骨の中の構造は、均一ではなく外側は硬く皮質骨と言い、骨の中心部は海面骨と言って隙間があり、この海面骨部分で、骨髄と言って血液を貯めたり造ったりしています。全体として年とともに硬い部分(骨量)が、少なくなっていることがよくわかると思います。またこのグラフは、日本人の骨量の平均が年齢により変わっていくことを男性と女性とに分けてグラフにしてみたものですが、骨は、子供のときから成熟して行き30歳をすぎると人生でもっとも骨の丈夫な時期を迎えます。その後徐々に骨量は減少していき、増えることはありません。特に女性について、女性ホルモンの減少に関係しているといわれていますが、閉経後の減少が顕著となりますので閉経後の女性は十分にカルシウムを摂取することが重要です。また最大の骨量年齢からは、減少が続くことより、子供のときに十分に骨を丈夫にしておくことも重要なことです。では、骨を丈夫にして、いつまでも健康に暮らすにはどうしたら良いでしょう。現在、考えられる最善策は、30歳すぎに迎える最大骨量時期(peak bone mass)からの骨量減少カーブを日々の努力で、できるだけ、なだらかにすることなのです。そのためには、骨量(骨の硬い石灰化した部分)の重要な構成要素である、栄養素としての、カルシウムの摂取は欠かせないことになります。次回は、骨とカルシウムの関係についてお話したいと思います。