整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

五十肩 その6 肩に負担のかからない体づくり (5)

2018.10.13
カテゴリ:首や肩が痛い
立ったり座ったり歩いたり、いろいろな動きをする際に大切なのが体幹です。

ここでは体幹の運動を紹介します。

まず、四つ這いバランスです(図1)。

四つん這いになり、左腕を前方へ、右脚を後方に伸ばしバランスを取りながら5秒間保持します。腕も脚もまっすぐになるようにして、体が捻れないように気をつけて下さい。もちろん逆側も同様に実施して下さい。また、この運動が簡単にできる人は、右腕と右脚あるいは左腕と左脚の様に、同じ側を伸ばすバランス訓練にも挑戦して下さい。

もう一つはゆりかご運動です。両腕で両膝を抱え背中を丸め、体を前後に揺らします。決して脚を伸ばさず、なめらかに動かしてみて下さい。簡単に運動ができる人は、坐った状態から後ろに転がり、そのまま起きあがって下さい。この運動は骨盤と脊柱(背中)を上手く動かすためのものですので、スムーズな動きが出来るように頑張って下さい(図2)。



自分を見直して健康に

どんなに体に注意をして、ストレッチや運動を行っても、普段の生活で肩の使い方が悪ければ何の意味もありません。日常生活上で見受けられる、改善してほしい動作を紹介しましょう。自分の行動を思い起こし当てはまることがあるようでしたら早速改善して下さい。

1.後ろのものをとる時、腕だけを後ろに回す。

一度腰を上げてから振り返るか、しっかり体を捻ることを意識して腕を伸ばしましょう。

2.掃除機・モップを掛けるとき、腕だけを振っている。

自分では気がつかないことが多いようです。全身を充分使って掃除してください。

3.バッグを同じ側の肩に掛けるか、同じ側の手で持つ。

バッグは必ず左右に持ち替えましょう。リュックタイプは比較的良いのですが、重量が重すぎると肩に負担を掛けるため、時々外して休めましょう。

4.不良姿勢に気をつけましょう。

一日一回、体全体を鏡でチェックしましょう。時には、立ち姿を横から写真を撮ってもらったり、外出先では、ウィンドに映る自分の姿をチェックしましょう。

簡単なことですがとても重要です。思い当たることがあるようでしたら、一つ一つ改善させましょう。

 

今回で、このシリーズは終わりです。皆さんがよく聞かれる五十肩という病気を取り上げて、自分で出来る体のチェック方法や改善するための運動の一部を紹介しました。肩の動きには体の様々な場所の機能が関連していることを理解いただき、生活の中で出来る限り全身を上手に使うことを心がければ、肩の病気だけでなく膝や頸・腰などの障害もある程度予防することが可能となってきます。運動機能は年齢と共に低下することは事実ですが、単に年を取ったから低下するものではないのです。体を正しく使っているか否かを確認していなかったために起こるものなのです。年のせいだからといわれないように、自分の体をもう一度見直してください。そして、今回紹介した運動を実践し、いつまでも健康な体を保つようにしてください。

昭和大学藤が丘病院整形外科 客員教授 筒井廣明