整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

頚、肩の痛みについて(神経の痛みを中心に)

2012.02.13
カテゴリ:首や肩が痛い
前回までに頚椎の構造について、また、とても重い頭を支えていることの意味についてお話いたしました。不良姿勢の状態を続けると、頭が前方に倒れないように支える筋肉(僧帽筋に代表される筋肉)の収縮を持続して、しいられるため、この部位の筋肉痛が生じて、肩こりが生じることがあります。(図1)

長時間続けて、本をよんだり、書き物をしたり、またコンピューターの操作をしたりすると、頭部が頚よりも前方の位置になった姿勢を知らず知らずに長時間とっているために、後方の筋肉の疲れと筋肉内に筋肉疲労物質が溜まるため、これが筋肉の鈍痛を生じ、肩こりと言う症状が生じて、皆さんは、“肩がこってこまるのです“とおっしゃります。

ここで、肩こりが、こういった筋肉痛により生じていることもありますが、もしかしたら同部に分布している神経の痛みから生じている場合もある。と言うこと知っていただきたいのです。もし、後頚部から肩甲部にかけての疼痛とこりが筋肉疲労によるならば、筋肉内に疲労物質がたまらないように、姿勢に心がけてください。生じた筋肉疲労に対しては、その日の疲れをその日の内に取るように、よく温めて、血行を良くして、夜には、消炎鎮痛の湿布をはって適切な高さの枕で休めば、症状は、治まるはずです。なかなか症状が治まらないときや肩から腕にかけての痛みやだるさがあり、時に、腕から手にかけて痺れが生じてくる時は、頚椎からの神経の痛みが生じている場合がとても多いのです。

肩こりの原因として頚椎部においての神経の刺激によることがとても多く、整形外科医の診察と頚椎のX-線検査にてその鑑別は、比較的容易です。

そこで今回、頚椎部からの神経の分布について説明をいたしたいと思います。頚椎の後方部には、脊髄神経が通っています。ここから、それぞれの頚椎の骨の間から右左に一本ずつ神経でています。この神経は図に示す通り頭の後頭部から、肩甲部や肩や腕や手にまで広く分布しているのです。頚椎部では、神経の通り道が椎間板の変性により狭くなっていることがあり、時には、このために、神経が刺激をうけて傷んだりすると、頭痛や肩こりや腕の痛みや痺れを生じることがあります。この場合、神経を治すお薬を飲んだり、頚椎部に対して日常生活で負担のかからない様な注意をしたり、またリハビリテーションを中心とした通院加療を行うことによって、症状が緩和できます。肩こりがなかなか治らないときに整形外科の診察を受けてみてください。