整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

五十肩 その2 肩のセルフチェック

2018.02.27
カテゴリ:首や肩が痛い

  • 肩がちゃんと動くかどうかをチェック


肩がちゃんと動いているかどうかを自分自身で認識する事は非常に難しいものです。それは、前に書いたように肩は鎖骨・肩甲骨・上腕骨の3つの骨と複数の関節によって運動が行われているからです。肩の一部の機能に多少の問題が生じても、気づくことなく他の関節でその機能の障害を補っている事が多いので、よほど肩の関節が壊れてこないと痛みなどの症状を出しません。逆に言えば痛みが出てからの対処では全くの手遅れ、症状が出るその前に何とかしなくてはならないのです。

自分は正常だと思っている方も含め、本当に大丈夫なのかをしっかりチェックしてみてください。尚、関節に痛みがある方で、チェックを行うときも痛みが現れる方は、無理はせず、医療機関にて相談される事を勧めます。(図1~4)

動かせなければ鎖骨や肩甲骨の動きが悪い証拠です。左右同じように、自分が意図した通りに動かせるように鏡で確認しながら行ってみてください。



  • 肩を取り巻く多くの筋がバランス良く働いているかどうかをチェック


肩周囲について自分では気がつかない機能の障害があるかどうかのセルフチェックです。

先ず、上半身を映すことの出来る鏡の前に立ってください。目を閉じ、両手を水平になるまで横に広げてください。そのとき親指は上に向けておきましょう。水平になったと思ったら、そのままの状態を保ったままで、目をあけてみてください。


両腕が水平になっていますか?肩の高さが左右同じですか?


肩がちゃんと動くかどうかのチェックで、バンザイをしてもらいましたが、最大まで腕を挙げた状態に左右差がなく動かせたにもかかわらず、このチェックで腕が水平になっていなかったり、肩の高さが左右違っていたりする人は、筋活動のバランスが崩れている事が多いのです。(図5)

 

 

次は、タオルを用意し、同じように鏡の前に立って下さい。図のように、掌を上に向けた状態でタオルを握ります。脇が開かない様にしたままでタオルを横に引っ張り合います。(図6)

 

このとき、肩先の高さが上がったり下がったりする場合は、前のチェックと同様、筋活動のバランスが崩れている可能性があります。


 

図7では左肩が上がって、左手も右に比べて高くなっています。
筋活動のバランスが悪いときは、図のように肩-腕が水平になりません。もちろん、腕が水平でも肩が下がってしまう場合も筋活動のバランスが崩れている可能性があります。

 

次回は、肩周囲だけでなく、全身にわたる身体機能のセルフチェック方法をご紹介します。

 

昭和大学藤が丘病院整形外科 客員教授 筒井廣明