整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

五十肩 その3 全身のセルフチェック

2018.04.17
カテゴリ:首や肩が痛い
 

  • 肩周囲だけでなく、全身に渡る身体機能のセルフチェックが必要


なぜ全身のチェックが必要なのでしょうか。それは、単に物を持ったりする手を使う時だけではなく、肩は体全体の動きにも大切な役割を担っています。例えば、体の構造上、相当の重量である頭部を支える働きや、息を切らすような激しい運動をしたときには、肩の上下運動で呼吸運動を補助します。更に、体を移動するときにバランスを崩して倒れそうになったりすると必ず腕や肩が動くなど、バランス保持のためにも働きます。そのため、肩の機能は全身のあらゆる所から影響されたり影響したりするので、肩周囲のみならず全身に渡ってチェックする必要があります。

 

■体幹機能をチェックしてみましょう。

肩に影響しそうな機能の障害がないかどうかチェックしてみてください。

一つ目のテストでは、膝が伸びないように注意して下さい。(図1)二つ目のテストでは、腕が体から離れないように注意します。(図2)





 

■からだ全体の機能をチェックしてみましょう。

まず、ジャンプです。図のように脚を肩幅に広げ体を軽く曲げ、両手で膝を軽くつかんでください。この状態のまま、膝から手が離れないように注意して、2~3回、軽くその場でジャンプします。体全体が上手く働いているならば、音もあまり立てず、同じ場所でジャンプする事が出来るはずです。(図3)



次は、バランス保持です。図のように四つ這いとなります。脚(膝)と手は肩幅に広げておきます。この状態から、同じ側の腕と脚を水平になるように持ち上げて、3秒間静止させます。十分に体の機能が働いていれば、ぐらつかず3秒間を保持できるはずです。(図4)



同じ場所でジャンプが出来ない方やバランスが保てなかった方は、体のバランスをとるために肩が必要以上に働いている可能性があります。体のバランスをとることが上手にできない人は、股関節や膝関節、そして足の機能が低下していることもあるので、肩を治すためには下肢の状態をみることも大切になってきます。

 

今回までのセルフチェックで意外と出来ないことが多いのに驚かれたのではないでしょうか。自分自身の身体機能を本当に良好な状態に保っているかどうかが自覚できることが大切です。

 

次回は肩に負担のかからない体作りをするための運動を紹介します。

昭和大学藤が丘病院整形外科 客員教授 筒井廣明