子供のスポーツ外傷について(肩) --とくにリトルリーガーズショルダー--
2012.12.10
カテゴリ:首や肩が痛い
近年、スポーツ人口の増加とその低年齢化により肩関節痛を訴えて来院される子供たちが多くなっています。 多くのスポーツ種目の中では野球が肩関節痛を生じる頻度が一番高いようです。投球動作を強く繰り返すことが原因で、野球肘や野球肩といった関節痛を生じているのですが、その原因についてはさまざまです。 肩関節の構成要素の軟部組織(腱や靱帯や関節包など)を損傷した場合には、亜脱臼障害、腱板損傷、上腕二頭筋損傷、関節唇損傷、等々の障害が起こります。 一方、発育期の骨組織の成長軟骨にまで損傷が及んだ場合にはリトルリーガーズショルダーと呼ばれる障害を生ずることがあります。成長軟骨は力学的に牽引力や剪断力に対して抵抗が弱いという性質がありますので、ここにストレスが加わると損傷を生じます。 肩関節痛が持続する時には、レントゲン検査を行って見つけられることがあります。
●リトルリーガーズショルダー(野球肩)とは
写真① 13歳野球少年の肩のレントゲン 左投球側 右非投球側
写真①の赤丸を比べてみてください。これは同じ子供の両肩のレントゲンです。 左側の写真は投球側で右側は非投球側です。 青い矢印で指している部分を見ると、上腕骨骨頭に骨端線(成長軟骨)*が認められますが左側の写真では右側の写真に比べて骨端線が離解して(隙間が開いて)見えます。写真左の状態をリトルリーガーズショルダーといいます。 リトルリーガーズショルダーが子供の成長期にしか起こらないのは、子供の骨は大人の骨と違いとても未熟で成長軟骨が存在し、大人には存在しないからです。(写真②)
写真② 大人の肩 30歳男性
●なぜリトルリーガーズショルダーが起こるのか?
投げるときに腕の振りを加速することで速い球を投げることができます。腕の振りを加速するためには腕をねじらなければなりません。このときの肩関節の動きは外旋といって外側にねじっています。(写真③)このねじりが肩にストレスをかけているのです。肩関節の外旋可動域が狭いとねじりのときにさらに肩にストレスがかかります。このストレスが肩に負担をかけ徐々に骨端線が開いてしまいます。
写真③ 肩の外旋
●リトルリーガーズショルダーの原因
肩関節の可動域制限や体幹・下半身の体のかたさ、肩に負担をかける投球フォームなどが挙げられます。
●リトルリーガーズショルダーの症状
投げるときに痛む 投げ終わった後が痛む 肩をねじると痛む
●治療法
肩に負担をかけてはいけないので安静が必要です。投球開始時期は医師の判断(レントゲン画像など)で決まります。投球開始までは理学療法士がリハビリで姿勢調節・肩関節の可動域訓練・体幹強化などいつでも投球できるような体作りを行います。投球開始の許可が下りたら、フォーム指導をしながらスローイングを行います。(写真④)
写真④ ネットスロー
●リトルリーガーズショルダー(野球肩)とは
写真① 13歳野球少年の肩のレントゲン 左投球側 右非投球側
写真①の赤丸を比べてみてください。これは同じ子供の両肩のレントゲンです。 左側の写真は投球側で右側は非投球側です。 青い矢印で指している部分を見ると、上腕骨骨頭に骨端線(成長軟骨)*が認められますが左側の写真では右側の写真に比べて骨端線が離解して(隙間が開いて)見えます。写真左の状態をリトルリーガーズショルダーといいます。 リトルリーガーズショルダーが子供の成長期にしか起こらないのは、子供の骨は大人の骨と違いとても未熟で成長軟骨が存在し、大人には存在しないからです。(写真②)
*骨端線(成長軟骨)とは・・・ 骨の端にある軟骨が骨にかわってゆく境目の部分。 この軟骨と骨の境目の線(写真①の矢印)があるうちは骨は成長していきます。成長することで骨が伸び、体が大きくなります。大人になるにつれ骨端線はなくなり骨の成長が止まります。
写真② 大人の肩 30歳男性
●なぜリトルリーガーズショルダーが起こるのか?
投げるときに腕の振りを加速することで速い球を投げることができます。腕の振りを加速するためには腕をねじらなければなりません。このときの肩関節の動きは外旋といって外側にねじっています。(写真③)このねじりが肩にストレスをかけているのです。肩関節の外旋可動域が狭いとねじりのときにさらに肩にストレスがかかります。このストレスが肩に負担をかけ徐々に骨端線が開いてしまいます。
写真③ 肩の外旋
●リトルリーガーズショルダーの原因
肩関節の可動域制限や体幹・下半身の体のかたさ、肩に負担をかける投球フォームなどが挙げられます。
●リトルリーガーズショルダーの症状
投げるときに痛む 投げ終わった後が痛む 肩をねじると痛む
●治療法
肩に負担をかけてはいけないので安静が必要です。投球開始時期は医師の判断(レントゲン画像など)で決まります。投球開始までは理学療法士がリハビリで姿勢調節・肩関節の可動域訓練・体幹強化などいつでも投球できるような体作りを行います。投球開始の許可が下りたら、フォーム指導をしながらスローイングを行います。(写真④)
写真④ ネットスロー
(須藤)