整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

成長期のお子さんのスポーツ外傷 その1

2017.04.19
カテゴリ:スポーツ 肘が痛い 関節
今回から数回に分けて特に成長期のお子さんのスポーツ外傷についてのお話をします。

野球を一生懸命にやられているお子様も多いかと思いますが。当院では、地域の野球少年の健康管理の一環として、年に一回の野球肩肘検診を行っております。

野球で、投球動作を頑張ってやりすぎると、肩や肘を痛めてしまうことがあります。野球肘もしくは、野球肩と診断された場合の治療の原則は損傷された部位の安静です。つまり大好きな野球をお休みすることになってしまいます。

当院では、安静期間を最小限にして再発を予防するために、肩や肘に無理をかけている下肢・体幹の筋力や柔軟性を向上するリハビリを行い、投球動作の改善を図り、野球肘の治療と再発の予防を行っています。

野球肘で悩んでいませんか?

投球による障害も、年齢により異なり、特に小学生では、肩よりも肘の障害が多いです。この野球肘も色々な部位に起こりますが、肘内側(小指側)に起こる上腕骨内側上顆骨端線損傷や内側側副靭帯(MCL)損傷、外側(親指側)では上腕骨離断性骨軟骨炎(OCD)などの障害に分けられます。

例)肘のレントゲン写真(写真の左が親指側、右が小指側です)
上腕骨内側上顆(小指側の骨の出っ張り)が壊れています。



正常                  骨端線・骨端核損傷

【どういう状態で障害が起こるか】

投球時に手投げになっている、肘が下がる、体の開きが早い、リリースポイントが定まらないなどのフォームのくずれが指摘される状態では、肘に過剰な捻じれや急激な筋肉の収縮が起き、肘にストレスが集中するために障害が起こるといわれています。



【なぜそうなるのか】

原因として、

①股関節の動きの低下
②下半身の筋肉の筋力低下
③投球方向へ体重移動の不良
④体幹の動きの低下
⑤肩甲骨の動きの低下
⑥肘から指先までの動きの低下

など、様々な部位のちょっとした動きや筋力の低下が原因となります。

【当院でのリハビリの一例】

肘の痛みがあり当院に受診した野球少年に対して、下のようなストレッチや筋力トレーニングを行った結果、下肢、体幹、肩、肘の動きが増大し、重心移動がスムーズになりました。フォームが改善することで肘にかかるストレスが軽減し痛みも改善されました。

↓ももの前の筋肉のストレッチ
 

↓おしりの筋肉の筋力トレーニング


↓投球方向への重心移動のエクササイズ


【治療前と治療後】

   
治療前             治療後

  
治療前             治療後

【さいごに】

上手く投げられないのには必ず原因があります。どのスポーツでも同じですが、プレーや動作の中で体の一部に負担がかかるような体の使い方をしていると怪我につながります。体に負担のかからない理想的な動きを出来るようにするために、我々脇田整形外科の医師と理学療法士が連携してサポートしていますので、ご相談ください。

また、痛みがなく投球や打撃にお悩みの方は、自費(保険適用外)でベースボールコンディショニングルームでの指導もしております。

↓脇田整形外科では横浜総合病院や桐蔭横浜大学と協力し。『横浜市青葉区少年野球連盟検診手帳』を作成しています。


↓学校での指導も行っています。