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91号(仲町台編) <脳神経内科を受診される方の症状>朝起きたら手が持ち上がらない!

2020.02.15
カテゴリ:未分類

あなたの脳の健康は大丈夫?


現在、「高齢化とともに脳神経疾患のなんらかの障害を生じた結果、要介護状態になる方が全体の半分以上」という報告もあり、脳の健康を保つことがとても大切な時代となっております。そこで今回は、ウェルケアはら脳神経内科の院長をしていただいている原先生に脳神経疾患について解説をお願いしました。

原先生は東京医大卒業後、昭和大学藤が丘病院の脳神経内科にて研鑽され、済生会病院の脳神経内科部長をしておられた方です。きっと皆さんのお役に立てると存じます。

医療法人社団 裕正会理事長 脇田 正実


 

<脳神経内科を受診される方の症状>


朝起きたら手が持ち上がらない!


今月からシリーズで“脳神経内科”についてお話させていただきます。
脳神経内科を受診される方はどのような症状で来られるのでしょうか?



頭痛、しびれ、筋力低下、物忘れ、めまい、震えなどの不随意運動、歩行障害などが主な来院のきっかけとなる症状です。 例えばある30代の男性が朝起きたときに手が持ち上がらない事に気が付き来院されたことがありました。 それまで健康診断でも異常を指摘されたことが無いのに、ある朝突然の症状です。 急な麻痺に慌てたその男性は“脳梗塞ではないか”と思い脳神経内科を受診されたのです。 クリニックでまずすべきことは何でしょうか? 一刻も早く頭部MRIを撮る事? それとも血液検査? 正解は丁寧な診察です。

まず手が上がらないのはどの筋肉に力が入らないのか、手の感覚(皮膚の知覚)に異常がないのか、あるならどの範囲かを診察することで原因が脳なのか脊髄なのか手の末梢神経なのかが分かります。 例えば脳梗塞が原因なら上肢全体の筋力低下があり同じ側の足にも筋力低下がみられることが多いのです。 もし手の筋力低下はあるが足の筋力は正常で手には感覚障害も同時にみられるならほぼ脳の病気は否定的です。 なぜなら脳の解剖を考えると手の運動神経と感覚神経はかなり離れた場所にあり、手と足の運動神経の場所はずっと近くにあるからです。



図に脳が原因の麻痺、脊髄が原因の麻痺、末梢神経が原因の麻痺の典型的なパターンを示しました。 前述の男性は手を前方に挙げることはできませんでしたが横に広げることはできました。 また親指側の前腕の皮膚に知覚障害があり典型的な“橈骨(とうこつ)神経麻痺”の方でした。 橈骨神経麻痺は寝ている間に腕に重いものが乗っかり神経を圧迫することで生じる末梢神経障害です。 土曜日の夜に深酒して自分の頭が腕に乗かって麻痺になったり、恋人を腕枕して寝たために起きたりするので別名 “サタデーナイトパルシー(土曜日の夜の麻痺)”と呼ばれたりします。 行うべき検査はMRIではなく筋電図や神経伝導検査ですが、典型的なら検査も不要で通常は自然に良くなっていきます。

このように神経の症状にはいくつかのパターンがあってその所見により調べるべき体の場所・検査内容が異なります。 逆に軽度の麻痺でも同じ側の手と足に症状があったり、構音障害(ろれつが回りにくい)などがあった場合には一刻も早く脳を調べる必要があり、現在では数時間以内の脳梗塞であれば血管の内部にある血栓を溶かしたり、カテーテルで取り除いたりできる時代になりました。

大きな病院では一つの科を受診するだけで一日かかることもありますが、当クリニックビルでは脳神経内科と整形外科が密接に連携しており、必要に応じて適切な科での診療や検査を迅速に受けることができます。 患者さんに余分な負担をかけずに迅速に治療できるメリットがあると考えています。 心配な症状があればいつでも脳神経内科にご相談ください。

ウェルケアはら脳神経内科 院長 原 一(はら はじめ)