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理学療法士のリハビリ記録 カルテNo.5 「立ち上がれないのは股関節だけの問題?」 E様

2020.04.14
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 「立ち上がれないのは股関節だけの問題?」 E

最近のTVでは「これをすれば痛みが消えます!」という体操が紹介され、多くの情報が飛び交う時代となりました。しかし人によって痛みの原因は違うため、すべての人に効く万能薬はありません。

 

写真(写真1)を見ると骨盤が後傾し背中が丸い曲線を描いています。これにより重心が後ろに残ってしまい立ち上がれなくなっていたのです。手術により股関節の可動域が悪いことや痛みによって立ち上がれないことも要因の一つでしたが、腰の既往歴もかかわっていました。今回は変形性股関節症により人工股関節の手術をした方をご紹介します。E様は股関節の機能が長年にわたって悪く、初診から6年を経て手術になった方です。手術直後、課題となったのは立ち上がりです。

  

リハビリにおいて大切になるのが、その人がどんな生活を送っていたのかというストーリーを知ることです。E様は股関節を痛めたのち、数年後に転倒により腰椎圧迫骨折をされています。そのため背中からお尻まで丸めてしまい重心が後方にいきやすい特徴がありました。手術後立ち上がれないと前述しましたが、何度もしりもちをつくような動作(イラスト1)は骨にストレスをかけてしまうため圧迫骨折の再発をまねく恐れがあります。したがってE様は股関節と同時に脊柱(胸郭)にアプローチする必要がありました。

 

結果、E様は股関節の機能に合わせ胸郭や骨盤の動きの改善により、骨盤から前屈できることで重心を前に移動することができるようになりました(写真2)

  

最近は立ち上がりの失敗はなくなっています。さらに今ではおひとりで杖なしに歩くことも可能になっています。(イラスト2)もちろん手術をすればある程度良くなりますが、手術をした股関節だけでなくそこに至るまでの癖や経緯も大切です。だからこそ問診や日頃の会話からその人を知ることが大切であると私たちは考えています。

脇田整形外科 理学療法士・小西瑠璃