95号(仲町台編) 頭痛について・・・脳ドックのオススメ
<命にかかわる頭痛の代表は“くも膜下出血”>
今月は頭痛についてお話します。 命に関わる頭痛の代表はなんといっても“くも膜下出血”です。
くも膜下出血で生じる頭痛の症状は、①“突然始まる、これまで経験したことのないような激しい頭痛”で、通常②“嘔気・嘔吐を繰り返し”、③少なくとも24時間以上持続する頭痛です。 これらの症状の場合、一刻も早く専門医(脳神経外科や脳神経内科)の受診が必要です。その原因は通常脳動脈瘤(動脈のこぶ)が破裂することで生じ、命を落とす事や救命されても重大な後遺症が残る場合もあります。
神経内科のクリニックにも“突然強い頭痛が始まったので診てください!”と駆け込むかたは大勢いらっしゃいますが、かなりの割合で “後頭神経痛”の方がおります。
後頭神経痛の特徴は、①常に片側の後頭部~頭頂部、耳の後ろあたりに限局しており、②痛みの程度はさまざまで激しい時もあるが持続時間は数秒~1分以内のズキンあるいはビリッとする痛みが繰り返し生じる、③嘔気・嘔吐は通常ない、ことです。後頭神経痛は2週間ぐらいで自然に緩解することが多いのですが、まれに後頭神経領域に“帯状疱疹”が出現することがあり、皮膚に水疱や皮疹が出たときには皮膚科や脳神経内科に受診してください。
脳梗塞では通常頭痛はなく、片側のマヒや呂律障害などが代表的な症状ですが、まれに脳血管が裂ける(動脈乖離)ことで頭痛と片側のしびれやめまいが出ることがあります。40代くらいの男性に多いとされ昔のアイドル歌手も(YMCA-などで有名だった方)もこのタイプでした。
脳炎や髄膜炎で生じる頭痛は感染症ですので、発熱・嘔吐があり食事は通常とれなくなります。 まあ食事が普通に取れる頭痛ならそれほど緊急性はないと考えてもよいでしょう。
<”くも膜下出血“を事前に防ぐ方法はあるでしょうか?>
それは破裂しそうな動脈瘤を事前に発見して治療することです。 脳ドックなどで一定以上の性能をもつMRIによる血管撮影(MRA)を行えば脳動脈瘤の有無が分かります。 動脈瘤のなかでも大きなものや、形の悪いもの(こぶが二重にみえるもの)などは特に破裂の危険が高いとされ、発見されれば破裂する前に手術やカテーテルでの治療をお薦めしています。 血縁者にくも膜下出血のいる方は特に検査をお薦めします。
MRI/MRAで偶然発見された大きな脳動脈瘤
慢性的な頭痛(月に数日繰り返すなど)の代表は“片頭痛”です。 女性に多く、生理周囲にも関係することが多い頭痛です。 頭痛時には普段より光がまぶしく感じたり、前兆として視野の一部に見えにくい部分や光のギザギザ“閃輝暗点”が出現することもあります。
慢性頭痛で寝込むほどの痛みや吐き気は片頭痛が多いとされ、片頭痛に特化した治療もあります。
“頭痛持ちだから仕方がない“とあきらめずに、市販薬では十分な鎮痛がえられない方や月に何日もツライ思いをされている方はぜひ専門医へご相談ください。頭痛時の内服だけでなく漢方薬や予防薬などそれぞれの方にあった治療方法を提案させていただきます。 世の中頭が痛くなるようなことが多いですが、賢く科学的に対処して少しでも人生を明るく過ごしたいですね。
はら脳神経内科では、脳ドックを行っています。健康長寿社会を実現し、要介護になる原因を早期に発見・予防・治療するために、脳ドックを利用していただきながら適切な診療を受けていただくことをおすすめします。
※当院の脳ドックについては以下のホームページでご紹介しています。http://nmd.welcare.or.jp/hara/noudoc
ウェルケアはら脳神経内科 院長 原 一(はら はじめ)