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理学療法士のリハビリ記録 カルテ№7 足腰を鍛えることで手首の痛みが改善⁉ G様

2020.12.19
カテゴリ:リハビリテーション

 

今回は下半身の機能の改善により手首の痛みが改善した利用者様についてご紹介させていただきます。『下半身の機能がなぜ手首の痛みを改善するの?』と不思議に思われるかもしれませんが、我々リハビリ業務においてこのようなことは珍しいことではありません。

 

ヒトの身体は、本来の動作・運動が行えない場合(痛みがあったり怪我をした時など)、他の機能で補いながら動作・運動を行うことがあります。例えば、足首を捻挫した時、痛めた側の足首へ体重がかからないように左右非対称で歩いたりします。この動作のことを代償(だいしょう)動作と言います。この動作は一時的に身体を守る反面、繰り返し使うことで他の部位への負担を増やしてしまうことがあります。

 

今回のG様は、腰椎圧迫骨折による腰痛と足部の痺れを呈しており、日常での立ち上がりに支障を来たしておりました。写真①では、背中が丸くなることで重心が後方となっており、足部へ十分に荷重できず下肢の力を使いにくいことがわかります。そのため手の力を使用して体幹を上方と前方に押し出していました。この手で押す力がいわゆる代償動作で、この手の力に頼り過ぎた結果、手首に痛みを生じていると考えました。

そこでリハビリでは、立ち上がる際に下半身の力が上手に使えるようになるため、図のような股関節を曲げる運動(イラスト左)と身体を伸ばす運動(イラスト右)を中心に行いました。

これらの運動を行った結果、写真②のように骨盤の動きが大きくなり重心を前方に移動できるようになりました。そのため足部(下肢)で体重を支持でき、手で上方、前方に押す代償動作が軽減しました。その結果G様の感覚としても手を過剰に使う感じが減り手首の痛みが軽減したと話されていました。

 

このように代償動作が軽減し、本来の運動が行えるようになることで、身体にかかる負担が軽減し痛みを改善することができました。

より詳しいことを聞きたい!これでいいの?と疑問が残った方は理学療法士にお気軽にお声掛けください、一人一人にあった方法を提案させていただきます。

 

理学療法士 斎藤諒太