理学療法士のリハビリ記録 カルテ№ 8 最近体操を頑張っている皆様へ
我々理学療法士はリハビリテーションを行う際に、患者様がどのように過ごされているのか、どのような動きをされることが多いのか、どのような姿勢で過ごされていることが多いのか、といった日常生活の過ごし方について考えています。この日常生活の情報と、医学的な知識を組み合わせて、なぜ症状が出ているのか、どのようにすれば動きやすくなるのかなど一人一人の目的に合わせてリハビリテーションを行っています。
最近、コロナ禍により皆様の日常生活の過ごされ方が変化していると感じています。
なぜなら、外出制限による「運動不足を感じる」「暇になった」などの理由から、コロナ前よりも健康意識が高まり、時間ができたことで、高頻度で体操を行っている方が増えたからです。
H様もその一人でした。腰痛の軽減を目的として腰部を伸ばす体操を行うよう提案しましたが、「時間ができたから」という理由で、自宅での体操頻度と回数を私が想定していた倍以上行っていたのです。その結果、写真の通り足を触れるほど柔らかくなっていました。しかし日常の腰痛が強くなってしまったのです。
なぜ体操をたくさん行って、体が柔らかくなったのに腰痛が強くなるのかと疑問に思いませんか?
体は柔らかい方が良いと思われがちですが、実は違います。
腰が必要以上に柔らかくなってしまうと、柔らかくなった動きやすい部分だけが伸びるようになり、硬い部分に比べて過剰に負荷がかかってしまい、痛みが出てしまうこともあるのです。
H様も柔らかい部分と硬い部分の差を減らし、負荷を減らす為に、体操頻度を半分にすることで、痛みが軽減しました。
コロナによって考え方や日常生活の過ごし方が変化し、体操をする方が増えたのはとても良いことですが、体にあった体操でも、頻度や回数を間違えてしまうと体を痛めてしまうことがあるため注意が必要です。
我々理学療法士は一人一人の目的に合った体操を適切な頻度、回数で提案させていただきます。体操についてわからない点がある方はお気軽にお声かけください。
理学療法士 斎藤諒太