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理学療法士のリハビリ記録 カルテNo.9 身体が傾くのはなぜでしょう?

2021.04.16
カテゴリ:リハビリテーション

日々、私たち理学療法士がリハビリテーションを行っていると「鏡に映った自分の身体が傾いている」と気にされたり、またご家族やお知り合いの方に「身体が傾いているからみっともない!」と言われ、身体をまっすぐにしたい!と考える方は少なくない印象です。ですが患者様の傾きを修正したところ、逆に腰痛が悪化したりふらつきが顕著になってしまうという方もいらっしゃいます。

今回紹介させていただきますI様も、歩いて右足に体重が乗った時に身体が右側に傾き、真っすぐに修正すると余計にふらつきが増大してしまった症例です。

では、身体の傾きには一体どんな意味があったのでしょうか?

 

 

 

写真の左側を見てみると右足に体重を乗せる際に上半身が右に傾きます。身体の傾きを修正しようと身体を傾けるような運動を行いましたが、それだけでは余計にふらつくようになってしまいました。

一方で、右の股関節周囲の筋肉を使うエクササイズを行った後のほうが、先ほどの運動を行った後よりもさらに右足の踏ん張りが効き、歩きのふらつきもかなり減りました。

つまり右足の踏ん張りがきかないことが原因で身体が傾いていたため、右股関節の機能を上げることで右脚の身体を支える力が向上し、傾きが改善されたということです。

 

狭い場所を通るときバランスをとるため身体を左右に傾ける、または立ち上がる前に身体を前方へ傾けて立ち上がりやすくするなど、動作において必要な身体の傾きも存在します。ただし傾くことが問題となっている場合は、上記の例のように傾く原因を見つけて対処していくことが大切であると考えております。

 

 

また最近はコロナ禍というのもあり、自宅にこもっている時間が長く運動量が減って、身体が傾きやすい環境になっています。以下の座ってできるセルフチェックを用意しましたので参考にしてみてください。

 

 

できる方はセルフチェックの運動の全ての足踏みを立って行ってみてください。

②、のどちらかに倒した後の足踏みが簡単になるはずです。

その足踏みが簡単になる方向がご自身にあったエクササイズになりますので、テレビのCMの合間や、長時間座った後などに身体を傾ける運動をしてみましょう。

もし身体を傾けて痛みがある方はこの運動は中止してください。

 

セルフチェックをしてみて、あまり左右差を感じられないという方はそもそも身体の変化がでにくくなっているか、他に原因がある場合もあります。

歩行時のバランスに不安を抱えている方や上記のセルフチェックのやり方がわからない方はお気軽に理学療法士にご相談ください。

 

脇田整形外科 理学療法士 倉本 杏花