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120号 打撲や捻挫、骨折などの外傷について

2025.02.12
カテゴリ:外傷

 今回は日常よく遭遇する外傷、打撲などの応急法と早く専門医の受診をする必要があるか、をご説明します。

 

打撲や捻挫、骨折などの外傷について

 

 今回は、打撲や捻挫、時に骨折などの外傷について、その応急処置についてお話をします。手足やその他の部位に、打撲  や捻挫をした時の応急処置について先ずは、原則的なことからお話をしましょう。

 たとえば、打撲についても手足のちょっとした打ち身の場合から、骨折を伴ってしまうほどのひどい打ち身まで、外傷の程度は様々ですが、必ずその部位が腫れてきて、そのためにさらに、痛みが増してきて困ることになります。

 打撲や捻挫のような、外力が加わって体の組織を損傷した場合、その直後には、傷めた部位の内部で、組織が切れたための出血(内出血)を生じます。最初は、この内出血によってその部位は腫れて見えます。さらに、組織を損傷したための本当の腫れが、後になって起こります。それは約12時間から24時間かけて徐々に生じます。このため、けがを生じた時よりも後になって、組織のはれが増してくることになります。受傷直後より、翌日になってから痛みが強くなるのは、このためなのです。その後、生じた組織の腫れは、約一週間をかけて徐々に、引いていくことになりますが、腫れができるだけ少ないほうが、治りも良いことになります。

 よく当院に、打撲などで来院される患者さんが、最初は、それほど痛くなかったのに、翌日になってから腫れと痛みがひどくなったといって、びっくりされて来院されます。後になって腫れがひどくなって、痛くなるのは、この事を考えれば、当たり前のことなのです。また、ある患者さんなどは、ゴルフ中に、ちょっと足首をひねって痛かったけれど、がまんしてゴルフを最後までプレイをしてしまい、さらにお風呂に入ってよく暖めて家に帰ったら、翌日、足首がひどく腫れて、痛くて歩けなくなったといって来院された方もいます。

 では、この時に、どうするのが一番良い方法なのでしょうか、応急処置についてお話しましょう。

 

1.傷めたところを直後に冷やす (Ice)                       

 

 受傷直後には、組織内部の出血を生じております。これを少しでも抑えるためには、氷で患部を十分に冷やすこと事により、出血している血管を収縮させ、内出血を止めて腫れを未然に防ぐことになります。スポーツ選手は、運動中に捻挫を生じたときには、直ぐにコールドスプレ-で患部を十分に冷やしていますが、普通は、氷水の入った氷嚢で、患部を冷やすことが良いと思います。このとき冷やしすぎて、凍傷で皮膚を痛めるといけませんので、タオルを敷いた上から冷やしたほうが安全です。できたら腫れのピークを迎える12時間以上は冷やしておけば、初期治療としては、宜しいと思います。冷湿布は患部を冷やすうえでは、あまり有効とはいえません。後で、消炎の意味で湿布を用いればよろしいと思います。

          

 

さらに局所の腫れを防ぐために、つぎの事を行っておきましょう。

2.安静(Rest)

3.圧迫(Compression)

4.挙上(Elevation)

 

 受傷部位は、あまり動かさないほうが良いと思います(安静)。患部を適度に圧迫して、心臓より高くしておくことも腫れを引かす上で有効な方法といえます(圧迫、挙上)。これだけをしておけば、たとえ骨折があっても一刻を争うほどの緊急性はありません。落ち着いて患部を眺めて観て下さい。関節が動きにくいときや、曲がっているように見えたら、骨折や脱臼の可能性もあり整形外科受診をお勧めします。患部を固定して動かさないようにして来院してください。 

 

  医療法人社団裕正会 理事長 脇田 正実