整形外科医の日常診療から Orthopedic surgeons blog

五十肩 その5 肩に負担のかからない体づくり(3)~(4)

2018.08.31
カテゴリ:首や肩が痛い
肩に負担のかからない体づくり(3)

今回は、肩のための、肩以外の場所に対する運動を紹介します。ストレッチでも実施したように肩のための訓練は肩に限りません。肩は体の色々な場所からの影響を受けるため、肩以外の場所に対する訓練も非常に重要です。

一つ目はお腹を斜めに走っている腹斜筋と肩から骨盤にかけての広背筋の体幹の筋肉に対する運動です(図1)。特に腹斜筋の筋力が低下したり、広背筋が硬くなったりすると背中が丸まったり、逆に反り返った姿勢をとることが多くなり、肩に負担をかけやすい状態をつくってしまいます。



指さし運動でこれらの筋肉を動かすようにしましょう。

ちょっと大きめの椅子、又は台に腰掛けて、片方の腕を斜め上に伸ばしてください。指先にひもが付いていて誰かに引っ張られている感じで腕の力を抜いて伸ばしてください。出来るだけ伸ばした状態で大きく深呼吸をしてください。この運動は肩の痛みを出さない角度で、倒れないように気を付けて、ゆっくりと左右に5回実施して下さい(図2)



肩に負担のかからない体づくり (4)

その3では体幹・腹筋系の訓練を実施しましたが、その4では、全身を使う運動を紹介します。

肩のぶらぶら体操

例えば、右肩が痛くて動きの悪い人は、左手をテーブルにつけて、右腕の力を抜いてお辞儀をしてください。腕が重力に引っ張られる感じを大切にして、腕を動かさないで、力を抜くだけで肩の関節に係わる筋肉や肩の関節包(関節の袋)が少しずつ伸ばされて動くようになっていきます(図3)



肩に問題のない人は、両腕の力を抜いて、お辞儀をしながら体幹を揺らします。

体幹だけでなく肩甲骨周りや肩関節自体のストレッチが上手にできるようになるので、

力を抜いて行うことがポイントです(図4)



 

昭和大学藤が丘病院整形外科 客員教授 筒井廣明