114号 小児整形外科の先天性3大疾患 ~内反足~ その1
整形外科には小児先天性三大疾患があります。先天性股関節脱臼、先天性筋性斜頸、先天性内反足の三つです。これまでに前者二つの疾患について記載してきましたが、今回は先天性内反足の疾患概要と症状についてご説明します。
疾患概要
先天性内反足は、生直後から足が内側を向いた状態で、徒手的な矯正は不可能です。治療しないと歩 行障害を生じることが多い疾患です。先天性内反足の原因については、現時点では完全に解明されていません。
治療は、まず徒手的に足の形態をギプスにて少しずつ矯正して固定します。この矯正は頻回に行うことが必要です。また変形の程度が強い際には手術が必要となることも多く、手術に際して腱や靭帯などの切断治療も必要となることが多い疾患です。
先天性内反足の原因は、現時点では完全に解明されておりませんが、子宮内で胎児が圧迫されることが一因で発症するとも考えられています。また、足の発生異常も発症に関与するとされています。先天性内反足は、単独で発症することもありますが、他の疾患(二分脊椎や染色体異常など)と関連して起きることもあります。
症状
先天性内反足では、足が変形した状態で生まれてきます(図1)。この変形は生直後から見られ一番の特徴は足関節が背屈しない(つま先が上に上がってこない)ことです。見ただけでも診断の着くような変形です。その変形とは下記の4つの要素の組み合わせで起こっています。
内反:足の裏側が内側を向く状態
尖足:つま先が下を向いた状態
内転:つま先が内側を向く状態
凹足:足の裏側が凹んだ状態
変形の形は図2になります。
先天性内反足では、歩行に支障が生じ、治療しなければ足底を地面に着けられず、足の甲や足の外側を地面について歩くことになります。このような姿勢での歩行は、骨や関節に過度の負担をかけ、結果いろいろな障害を起こしてきます。
内反足の検査、診断、治療については次回ご説明します。
おおぎや整形外科 院長 扇谷 浩文
参考文献:標準整形外科学 第9版 医学書院2007年1月発刊