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107号 軟骨組織の微細構造について

2022.12.23
カテゴリ:膝痛

前回、お示しした軟骨の構造図で説明しますと、コラーゲン繊維の間にブラシの毛のようなものが見られます。実際に軟骨を電子顕微鏡で見た場合でもコラーゲン繊維の間に試験管を洗うブラシのような構造の高分子化合物が見られます。このブラシのような高分子化合物がコラーゲン繊維の間に充填することにより、軟骨組織の構造が柔軟性を持ち、軟骨に大きな力が加わっても耐えることが出来る構造になっています。このブラシのような高分子化合物をプロテオグリカンと言います。(図1)

  

 

 

グリコサミンはプロテオグリカンを構成する最小単位です

 

グリコサミンは2のように2種類の糖が結合したものを言います。正式にはグリコサミノグリカン(CAG)と言います。

 

このCAGが構造単位として何百万も連なって高分子化合物となり、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などが作られております。このCAGが多数連なったものがコアタンパク質に結合し3のようなブラシ構造単位を作っています。これをアグリカンと言います。

 

さらにたくさんのアグリカンがヒアルロン酸とリンクタンパクで結びつき、さらに巨大な高分子構造物を作ります。これが電子顕微鏡で見られたブラシの微細構造であり、プロテオグリカンという高分子化合物が形成されています。(図4

 

軟骨組織ではコラーゲン繊維の中にこういったプロテオグリカン複合体(図4がつまっていることにより軟骨組織を形成しています。

この構造が骨と骨の間にある軟骨組織に巨大な圧迫力や剪断力が加わっても耐えうる柔軟な構造を作っているのです。

軟骨は軟骨細胞と軟骨基質からできていて、軟骨基質はコラーゲン繊維とプロテオグリカン複合体と水からできています。プロテオグリカンは軟骨細胞から遺伝子情報に基づいて常に産生されます。

 

※図24の出典:『生化学・分子生物学 第2版』 発行:東京化学同人

 

医療法人社団 裕正会 理事長 脇田 正実